[2001.02.18]
  パックの十字架


 ▼『アンナ・クルニコワ』作者の独占インタビュー(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20010215302.html


 いたずら好きの妖精は,いつも持っている十字架に,大好きな女の子の名前を刻んでいた。そんなに先のことではないある日,その十字架は青空を焦がすほどの炎を,世界に吹きつける。今はまだ,妖精の手のひらの中で,静かに鉛の鈍い光を照らすだけだが。

 ワーム型ウイルス「アンナ・クルニコワ」の作者でオンザフライと名乗る男性は「ウイルスを作成したことを後悔している」と述べた。だが,「感染したのは結局,感染者側の過失ということだ」とも。あるシステム管理者は,「愛,セックス,財産,セクシーなテニスプレーヤーののぞき見など,電子メールがどんな期待を持たせようが,添付ファイルにはすべて邪悪なものが潜んでいるものと考え,絶対に開けてはならない」と云う。

 報われないのはメリッサ(過去記事)やラブ・バグ(過去記事)を作った作者たちか。同じ人がまた感染したとは限らないが,あれだけの騒ぎになっていながらまた同じ過ちが繰り返される。今回は作者直々の登場もあって一気に収束したが,ある意味では作者の言い分は正しくて,おんなじいたずらに引っ掛かるのもどうかということ。大本にあるMSのソフト自体の罪科を問わなければ,間違いを繰り返す人間を責めてもなんにもならない。

 コードも書けないウイルス作者が世界のコンピューターを狂わせる構図は,なにかを予感させているようだ。世界を破壊するのは,決して最高に頭がいい人でも,最高に権力を持ち余している人でもない。ただのいたずらものが,その引き金を引く。大好きな女の子の名前が刻まれている十字架だけが,そのあとの世界の地面に転がっている。


return to index

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル